NewJeans 何があった

NewJeansの問題について、2025年3月16日時点での状況をわかりやすく、詳しく説明します。
韓国の人気ガールズグループNewJeansをめぐる騒動は、所属事務所ADORやその親会社HYBEとの契約紛争を中心に展開しており、ファンや業界に大きな影響を与えています。

以下に、問題の経緯やポイントを項目ごとに整理して解説します。

1. NewJeansとは?

NewJeansは、2022年にデビューした韓国の5人組ガールズグループで、メンバーにはミンジ、ハニ、ダニエル、ヘリン、ヘインがいます。
デビュー曲「Attention」や「Hype Boy」が大ヒットし、独特の音楽スタイルとビジュアルで瞬く間にK-POP界のトップスターに上り詰めました。
彼女たちの成功の裏には、ADORの元CEOであるミン・ヒジン氏のクリエイティブな指導が大きく貢献していました。

2. 問題のきっかけ:ミン・ヒジン氏とHYBEの対立

騒動の始まりは、2024年にADORのCEOだったミン・ヒジン氏と親会社HYBEの間で起きた対立です。
HYBEは、ミン氏が会社を私物化し、NewJeansを連れて独立しようとしたと主張。

一方、ミン氏はHYBEが彼女を不当に解任し、NewJeansの活動を妨害していると反論しました。
この内部紛争が、後の契約問題へと発展する火種となりました。

HYBEの主張:

ミン氏が不正に会社の情報を漏らし、NewJeansのメンバーを利用して独立を企てた。

ミン氏の主張:

HYBEが彼女を追い出し、NewJeansの成功を他のグループに奪わせようとした。
この対立は、裁判やメディア戦に発展し、NewJeansのメンバーにも波及しました。

3. NewJeansの契約解除宣言

2024年11月28日、NewJeansは緊急記者会見を開き、ADORとの専属契約を解除すると発表しました。
彼女たちは、次のように主張しました。


ADORが契約上の義務を果たさず、職場での嫌がらせや差別があった。
自分たちの意見が無視され、活動が制限されている。
ミン・ヒジン氏が不在の状況で、適切なサポートが得られない。

契約解除の翌日(11月29日)には正式に契約を終了させ、グループ名を「NJZ」に変更する意向も示しました。
これは、「NewJeans」という名前がADORの商標であるため、新たな名前で活動を続ける必要があったからです。

4. ADORとHYBEの反発

ADORとHYBEは、NewJeansの契約解除に強く反発しました。
以下が彼らの主な主張です。

契約の有効性:

専属契約は依然として有効であり、法的根拠なく解除することはできない。

投資の規模:

HYBEはNewJeansに210億ウォン(約20億円以上)もの巨額を投じて育成したため、簡単に手放すことはあり得ない。

証拠の欠如:

NewJeansが主張する「嫌がらせ」や「差別」の具体的な証拠が不足している。
ADORは、NewJeansが独立して活動することを阻止するため、裁判所に仮処分申請を提出。
具体的には、メンバーが他の事務所と契約を結んだり、広告活動を行ったりすることを禁じる内容でした。

5. 裁判での攻防

2025年3月7日、ソウル中央地裁で初めての審問が開かれました。
この時、NewJeansのメンバー全員が黒いスーツ姿で出廷し、注目を集めました。
審問では以下のようなやりとりが繰り広げられました。

NewJeansの主張:

93ページのスライドを使い、ADORによる職場での嫌がらせや活動妨害を詳細に説明。例えば、メンバーのハニは、HYBE傘下の別のグループ(ILLIT)のマネージャーから無視されたことを挙げました。

ADORの反論:

NewJeansの主張は憶測や仮定に基づいており、契約解除の正当性を証明する証拠がない。また、削除されたとされる防犯カメラ映像を提出し、ハニの主張を否定。
裁判所は3月14日までに、NewJeans側に契約解除の理由を明確に修正して再提出するよう命じました。
この時点で、契約の有効性に関する結論は出ていません。

6. 「NJZ」への改名と新たな活動

NewJeansは、2025年2月7日に「NJZ」への改名を正式に宣言し、新しいSNSアカウントを開設しました。
これにより、独自の活動を始める姿勢を明確に示しました。

広告契約の継続:

例えば、Calvin Kleinの広告では「NewJeans」ではなく個々のメンバー名で登場し、ブランドとの関係を維持。

ファンとの交流:

ハニがインスタライブでファンと積極的にコミュニケーションを取るなど、独立後の活動に意欲を見せています。
しかし、ADORは「NJZ」名義での活動を「違法」とみなし、法的対応を警告しています。

7. 海外就労ビザ問題

NewJeansのメンバーは、ADORが発行したビザで日本などの海外活動を行ってきました。
しかし、契約紛争が長引くと、ビザの更新や新たな取得が難しくなる可能性が浮上。
ハニはビザ延長のサインを拒否したと報じられ、独立後の活動に影響が出る懸念があります。
新会社でのビザ申請が認められるかどうかは、裁判の結果次第です。

8. ファンクラブの動き

NewJeansの公式ファンクラブ「Bunnies」の一部(約3万人)は、2025年3月12日に裁判所へ嘆願書を提出しました。
内容は、ADORの主張を無効とし、メンバーの契約解除を支持するものでした。
ファンもこの騒動に巻き込まれ、意見が分かれています。

9. 業界への影響

韓国の音楽団体は、NewJeansとADORの対立が「K-POP産業全体に悪影響を及ぼす」と懸念を表明。
契約紛争が長期化すれば、他のアーティストや事務所にも波及する恐れがあります。

10. 総評

NewJeansの問題は、単なる契約紛争を超えて、K-POP業界の構造的な課題を浮き彫りにしています。
具体的には、アーティストの権利、事務所の支配力、クリエイターと経営陣の関係性が問われています。

NewJeansの立場:

彼女たちは、自分たちのキャリアを守るために大胆な行動に出ました。ミン・ヒジン氏への信頼と、事務所への不信感が背景にあります。しかし、証拠不足や法的手続きの不備が指摘されており、世論戦に頼る姿勢はリスクを伴います。

ADOR/HYBEの立場:

大規模な投資とブランド価値を守るため、強硬な態度を取っていますが、アーティストとの信頼関係を軽視したことが問題を悪化させた可能性があります。

今後の展望:

裁判の結果次第で、NewJeansが「NJZ」として自由に活動できるか、あるいはADORに戻るかが決まります。
どちらにせよ、K-POPの契約慣行に変化をもたらすきっかけになるかもしれません。

個人的には、NewJeansのメンバーが若くして大きな決断を下した勇気は称賛に値しますが、感情的な判断が法的な壁にぶつかる現実も見えてきます。
一方で、HYBEとADORは、アーティストを「商品」として扱う姿勢を見直す必要があるでしょう。
この騒動は、双方にとって痛みを伴う教訓となりそうです。