ポッサム

「ポッサム~愛と運命を盗んだ男~」の概要

「ポッサム~愛と運命を盗んだ男~」は、2021年に韓国MBNで放送されたロマンス時代劇で、チョン・イル、クォン・ユリ(少女時代)、シン・ヒョンスが主演を務めた作品です。
MBN初の時代劇として注目され、朝鮮時代に実在した「ポッサム」という風習(再婚が禁じられた寡婦を布で包んで誘拐を装い、再婚させる慣習)をテーマにしています。


物語は、裏稼業で生計を立てる男バウ(チョン・イル)が、誤って王女ファイン翁主スギョン(クォン・ユリ)を誘拐してしまうことから始まり、権力争いや愛憎劇が絡む壮大なドラマが展開されます。
脇を固めるキャストには、イ・ジェヨン(イ・イチョム役)、キム・テウ(光海君役)など実力派俳優が名を連ね、歴史的背景とフィクションが融合したフュージョン時代劇として話題を呼びました。

以下に、視聴率情報と肯定的な意見、批判的な意見を詳しくまとめ、最後に総評をお届けします。

視聴率情報

「ポッサム」は放送開始時、2021年5月1日の初回視聴率が3.13%(全国基準、ニールセン・コリア調べ)と、総合編成チャンネルとしてはまずまずのスタートを切りました。しかし、2話で2.02%まで下がり、一時低迷したものの、その後視聴率は徐々に上昇。4話で5.5%を突破し、中盤の13話後半で8.7%を記録するなど、着実に人気を獲得しました。最終回(20話)では自己最高視聴率9.759%を達成し、MBNドラマ史上最高視聴率を更新。これは従来の記録「優雅な一族」(7.8%)を大きく超える快挙で、放送終了後もその成功が話題となりました。特に最終回は10%に迫る勢いを見せ、視聴者の支持が後半に集中したことを示しています。

ポッサムのOSTまとめ

ソジョン(LADIES’ CODE)「단 하루만」

ジョンイン「Love Song」

HANYE「Song of Destiny」

チョン・ホンイル「모난 돌멩이」

ヨンウン「오솔길 따라」

ファン・エリ「바우가」

サニー(少女時代)「Collar」

Mine「긴긴밤」

Gonia (with 유태평양)「가히 아름답다」

Susan「별이 진다」

ユジュ(GFRIEND)「위로 (String Ver.) 」

Sage「꽃다비」

パク・ジュハン「거친 세월아」

Gloria Sim「그대 내게 말해요」

H3ATHR SUN「Black (with 비비드슬로우)」

ソン・ユジン「봄바람 봄」

fla4free「Flower」

Grace Kim「Song of Dawn」

ハナルミ「널 기다리니까」

ナム・サンミン「지켜줄게요」

肯定的な意見

1. キャストの演技力とケミストリー

チョン・イルのワイルドで男らしい演技が視聴者から絶賛されました。これまでの時代劇「ヘチ」やラブコメでのイメージを刷新し、粗野な外見と繊細な内面を持つバウを見事に演じきったと評価されています。特にアクションシーンや感情表現の豊かさが際立ち、「時代劇プリンス」の称号をさらに固めたとの声が多数。クォン・ユリも初の時代劇挑戦ながら、控えめで気品ある王女役を自然に演じ、チョン・イルとのロマンスが「切なく美しい」と好評でした。二人のケミストリーは物語の軸として視聴者を引き込み、シン・ヒョンスの切ない片思い役も物語に深みを加えたと称賛されています。

2. ストーリーのテンポと脚本の完成度

物語の展開がスピーディーで、無駄な引き延ばしがない点が高く評価されました。誤って王女を誘拐する冒頭から、権力争いや家族愛、ロマンスがバランスよく織り交ぜられ、「毎回次が気になる」との声が多かったです。脚本は史実(光海君時代)を基盤にしつつも、重すぎずカジュアルすぎない絶妙なバランスが取れており、正統派時代劇とエンターテインメント性の融合が成功したとされています。

3. 映像美と衣装のリアリティ

派手すぎない衣装や落ち着いたトーンの映像が「リアルで美しい」と好評でした。他の時代劇で見られる過剰な装飾や色彩とは異なり、地味ながらも品のある韓服や自然なセットが、朝鮮時代の雰囲気を忠実に再現。特に中高年層の視聴者からは「落ち着いて見られる」と支持され、視聴率の上昇にも寄与したと考えられます。演出も丁寧で、戦闘シーンや情感あふれる場面のカメラワークが称賛されました。

4. 新鮮なテーマ「ポッサム」

韓国ドラマ初の「ポッサム」を主題にした設定が新鮮で、視聴者に強い印象を残しました。再婚を禁じる社会で愛を貫こうとする人々を描いた視点が共感を呼び、「歴史の一端を知るきっかけになった」との意見も。バウが「愛の救世主」として奔走する姿に感動した視聴者も多く、テーマ性が物語に深みを与えたと評価されています。

5. 視聴率に見合う満足度

最終回で9.759%を記録した通り、後半に向けて視聴者の支持が確実に増えたことが肯定的な意見に繋がっています。「最初は地味でも見続ける価値がある」「期待を超えた」と、放送前は注目度が低かったにも関わらず、口コミで広がった人気を裏付ける声が目立ちました。

批判的な意見

1. 前半のスローペースと地味さ

序盤のストーリー展開が遅く、「退屈で寝落ちした」「何が面白いのか分からない」と感じた視聴者も一定数いました。特に2話で視聴率が2.02%まで落ち込んだように、導入部の地味さが若年層に受け入れられにくかったとの指摘が。派手なファンタジー時代劇に慣れた視聴者には物足りなく、エンターテインメント性が不足しているとの声もありました。

2. キャストへの先入観

クォン・ユリが少女時代のアイドル出身であるため、「演技に期待していなかった」「韓服が似合う以外印象に残らない」との辛口意見が一部に。チョン・イルも「ヘチの二番煎じ」と見る向きがあり、新鮮味に欠けると感じたファンもいました。脇役陣が強烈な個性を発揮する一方で、主演二人の存在感が薄いとの批判も散見されました。

3. 歴史的リアリティの欠如

史実を基にしたフュージョン時代劇とはいえ、「ポッサム」の描写や光海君の治世が誇張されすぎているとの指摘が歴史ファンから出ています。権力争いの展開がドラマチックすぎて「現実味がない」「史実との乖離が気になる」と感じる声もあり、純粋な史劇を期待した層には不満が残りました。

4. ロマンスの比重不足

ロマンス時代劇を謳いながら、バウとスギョンの愛情描写が後半まで深まらず、「恋愛が物足りない」「友情や家族愛に焦点が寄りすぎ」との意見が。特にアクションや政治的陰謀に尺を取られすぎたため、二人の感情が十分に描かれていないと感じた視聴者もいました。

5. 中盤の冗長さ

視聴率が上がった後半とは対照的に、中盤(7~12話あたり)が「ダラダラしている」「展開が単調」と批判されました。サブキャラクターのエピソードが冗長に感じられ、本筋から逸れる場面が多いとの声も。後半の盛り上がりに至るまでの我慢が必要だったことが、視聴継続を難しくした要因とされています。

総評

「ポッサム~愛と運命を盗んだ男~」は、視聴率9.759%というMBN史上最高記録を打ち立てた実績からも分かる通り、全体としては高い評価を受けた作品です。
チョン・イルとクォン・ユリの初共演が織りなすロマンスと、朝鮮時代のユニークな風習「ポッサム」を軸にした新鮮なストーリーが、多くの視聴者を惹きつけました。

肯定的な意見では、演技力、脚本の完成度、映像美、新テーマへの挑戦が称賛され、特に中高年層や時代劇ファンから支持を集めたことが成功の鍵と言えるでしょう。
一方で、序盤の地味さや歴史的リアリティの欠如、ロマンスの薄さといった批判も存在し、若年層や派手な展開を好む視聴者には響きにくい一面もあったようです。


総じて、「ポッサム」は期待値を上回る良作として位置づけられ、落ち着いたトーンで丁寧に描かれたロマンス時代劇を求める人には強くおすすめできるドラマです。
放送前の注目度が低かった分、後半の盛り上がりや口コミでの広がりが際立ち、隠れた名作として語り継がれる可能性を秘めています。
キャストの新たな魅力を発見したいファンや、歴史とフィクションのバランスを楽しみたい視聴者にとって、見逃せない一作と言えるでしょう。